過去のトピックス

2015年10月更新

開所40周年のご挨拶

皆様におかれましては時下ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。
お蔭様をもちまして、一般財団法人食品薬品安全センター(FDSC) 秦野研究所は開所40周年を迎えることができました。これもひとえに皆様のご支援ご厚情の賜物と心より御礼申し上げます。
弊所では、初代研究所長である 石館守三先生の「真実を探求し、人と神とに仕えん」の理念の下、1975年10月以来、食品、化学物質、医薬品、そして最近では医療機器を中心として、 “安全性””を担保するための様々な委受託試験を実施してまいりました。その間、皆様から多くのご教授をいただき、組織としてここまで育てていただきました。これまでにいただきましたご厚情に感謝するとともに、 今までにも増して皆様のよきパートナーとなれるよう、職員一丸となって精進してまいります。今後とも、ご指導ご鞭撻の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。






2015年10月1日
一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
所長
小島 幸一


ご満足いただける試験を目指して

平素より試験のご依頼をいただきましてありがとうございます。皆様に支えられ、今日を迎えられましたことに深く御礼申し上げます。
弊所では、特にご利用の多い医療機器の生物学的安全性試験の分野におきまして、新たに開始しましたコンサルティング業務や各種規制側からの照会事項への対応、ISO 10993 TC194でのエキスパートとしての活動、 国際、国内試験法バリデーションへの参加などを通して種々の情報を入手、分析を行い、皆様からの多様なご要望に対応できる体制を整えております。また、医薬品の品質管理試験においてはPIC/Sに対応するGMP体制の整備、 食品の外部精度管理事業においては技能試験(比較調査)の拡充などに努め、皆様に一層信頼してご利用いただける受託機関を目指しております。

40年間蓄えて参りましたました知識や経験を基に、皆様のお役に立てるようさらにステップアップを目指して参ります。今後ともFDSCをご利用くださいますよう重ねてお願い申し上げます。




2015年10月1日
一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
企画調査部長
金澤 由基子



2015年9月更新

抗体医薬品の安全性試験について - 第42回日本毒性学会学術年会(金沢、2015)から -

2015年6月29日 - 7月1日の3日間、「健康と環境を衛る毒性学」をテーマに、日本毒性学会の年会(鍛冶利幸年会長)が金沢駅周辺の会場を中心にして開かれた。 北陸新幹線開通後、間もなくのタイミングもあり、参加者2000名以上とのことで盛会であった。
秦野研究所からも次の研究に関する3演題が発表された。すなわち、1)秦野研究所で確立され自然発生腫瘍に特異性があるHatanoラットの非腫瘍性病変の特性、2)骨充填剤の埋植試験における毒性病理検査の改良手法、および 3)眼刺激性試験代替法Vitrigel-EIT法のバリデーション報告(分担共同研究)、である。
年会の広範な内容の中で、日米の毒性学会の初めてのJoint企画としてWorkshop - Progress in Immunotoxicologyが開かれた。その中から、抗体医薬品の安全性評価についての話題を紹介する。


免疫チェックポイント阻害

上記Workshopの二番目の演題は、進行がんの抗がん治療でいま話題の免疫チェックポイント阻害薬である抗体医薬の安全性評価に関するものであった。タンパク質医薬の非臨床試験を多く経験しているDr. H.G. Haggerty (Bristol-Myers Squibb, USA) による、 “Taking breaks off the immune system: Challenges in safety assessment and translation”と題する発表であった。抗がん治療の免疫チェックポイント阻害薬として開発されたイピリムマブ(Ipilimumab)の事例を通して、抗体医薬の非臨床試験の過程を示した示唆に富む内容であった。
免疫の程度と質は、抗原認識後の共刺激シグナルと抑制シグナルのバランスによって調節される。免疫チェックポイントとは、このシグナル調節に関わる分子機構のことである。がん細胞に対する免疫では、がん抗原が自己抗原に類似しているため免疫反応を抑制したり、がん細胞上のリガンドが免疫細胞の受容体に結合して免疫応答を封じるなど、 抑制的なチェックポイント機構が働きやすい。この免疫抑制に関わるチェックポイント分子の働きを阻害することは、がん細胞に対する免疫を活性化する新しいがん免疫療法として注目され、そのチェックポイント阻害薬としてイピリムマブ、ニボルマブ(Nivolumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)などの抗体医薬が開発されている。 がん細胞に関わる免疫チェックポイント分子の一つとして、腫瘍細胞の認識により活性化した細胞傷害性Tリンパ球上に発現するCTLA-4抗原がある。CTLA-4は抗原提示細胞上のCD80/86と結合すると、がん細胞に対する細胞傷害性Tリンパ球の活性や増殖を抑制する。イピリムマブはCTLA-4のヒトモノクローナル抗体で、 CTLA-4に結合してその免疫チェックポイントの働きを阻害し、がん細胞に対する免疫を増強することにより抗がん効果を示すとされる。他の免疫チェックポイント分子PD-1の抗体薬ニボルマブと併用すると、抗がん効果は増強される。


抗体医薬品の安全性試験と評価

講演によると、先ず薬効薬理の結合特性試験により、この抗体医薬イピリムマブは、サル以外の動物種(げっ歯類、ウサギ)のCTLA-4およびそれを強制発現させたマウス細胞株には結合しないことが確かめられた。また、種々組織を用いた交差反応性試験でも、ヒトとサルの組織にのみ反応し、組織特異性もリンパ球での交差性は認められるが、 リンパ球の非特異的活性化は無いことが確かめられた。そのため、その非臨床試験である有効性に関する薬理試験と安全性を評価する各種の毒性試験は、カニクイザルを用いて行われ、必要なデータが集められた。その結果、免疫チェックポイント阻害に伴う可能性のある自己免疫反応は検出されなかったので、標的特異性は高いと判断された。
このように標的特性に種差のある抗体医薬の非臨床における安全性評価は、既に設定されているバイオテクノロジー応用医薬品の評価に関するガイドラインICH-S6(R1)に沿って行われている。抗体をはじめとするバイオ医薬については、まず各医薬について標的の種間交差反応性と組織特異性、および薬物体内動態が必要な基本情報となる。イピリムマブの事例では、 種間交差反応性が認められたサルを用いれば従来の非臨床評価が有効であったが、サルでの試験を非臨床における安全性評価の一般基準とするのは無理があろう。ガイドラインICH-S6(R1)では、バイオ医薬の種差特性に応じた試験条件が提示されているが、種差特性がヒトに限定されるバイオ医薬や細胞医薬が出現すれば、非臨床の安全性評価は従来のガイドラインでは難しい問題をかかえることになる。 これら医薬の安全性評価については、秦野研究所でも実施することになるが、抗悪性腫瘍薬のガイドラインICH-S9に適用されているように、その用途に応じて(A fit-for-purpose strategy)、一定の前提のもとに従来の非臨床試験を適用する(case by case approach)ことになろう。一方、ヒト化動物(免疫不全動物やヒト標的分子を発現させたトランスジェニック動物を用いる)の開発使用や、 ヒト細胞や組織を用いたin vitro試験の併用も試みられているが、現段階では毒性リスクの評価には種々の限界がある。かなり時間がかかるだろうが、これら毒性試験の実用的な体系化とSystems Toxicologyの視点からの評価法の確立が望まれる。


安研協認定試験において表彰されました。

安研協(安全性試験受託機関協議会)は1999年に設立された団体で、非臨床試験技術者に対する試験技術や試験知識の向上を目的として、 資格認定試験を実施しています(http://www.jacl.jp/menu02.html)。 今年度も実務経験1年以上の若手技術者を対象に試験技術や試験知識の向上を目指して資格認定試験が行われ、秦野研究所からも6名の職員が受験しました。
その結果、受験者全員が安研協認定技術者として認定を受けることができました。その中の1名は最高の成績(満点)を得て、安研協会長より表彰状と副賞を受賞しました。

受賞者は「これまで皆様から多くのことをご指導いただけたことがこのような結果につながったと思います。 感謝の気持ちを忘れずに日頃の毒性試験の実施にさらに磨きをかけたいと思います。」と語っていました。



2015年8月更新

OECD TG491 (July 28, 2015)
In vitro眼刺激性試験 Short time exposure (STE) 試験が採択されました。

STE試験は従来の眼刺激性試験代替法と比較して迅速かつ低価格で実施可能な試験法です。
当センターでは早くからSTE試験に取り組んでおりOECDテストガイドラインに準拠した受託試験が可能です。

“ Short Time Exposure In Vitro Test Method for Identifying i) Chemicals Inducing Serious Eye Damage and ii) Chemicals Not Requiring Classification for Eye Irritation or Serious Eye Damage”













  被験物質暴露中(秦野研究所 2015)



詳細は代替法試験をご参照ください。


2015年5月更新

日本動物実験代替法学会 第28回大会開催のご案内

この度、日本動物実験代替法学会第28回大会を2015年12月10日(木)~12日(土)の3日間、 ワークピア横浜にて開催させていただくことになりました。
大会長 山影康次



2015年1月更新

第36回日本バイオマテリアル学会大会 参加および展示実施

2014年11月17日と18日の2日間にわたってタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催されました。

「腐食試験および細胞を用いた試験によるチタンイオンの金属アレルギー性の検討」および「簡易溶血性試験法の性能評価と公定法との比較検証」の2演題で共同発表者として役割を果たし、 成果が発表されました。後者は今回の350件近くの一般演題の中から20演題が選定されたハイライト講演の一つとなり、これは昨年に続いて2年連続でした。
一方、食品薬品安全センターとしては、学会の大会や年会とよばれるもので今回初めて展示ブースを設けました。普段は試験・研究や試験委託者からの相談などにあたっている所員が、 時間のやりくりが大変な中、展示内容や配布資料などについて検討を加え、作成しました。大会第一日目の午前中は緊張していたブースでの説明なども、だんだん慣れてきて、 おかげさまで二日間の学会開催中に多数の資料を受け取っていただき、説明を聞いていただくことができました。初めての学会でのブース運営ではありましたが、 ご研究対象の材料が医療機器となって世の中に出るためには「生物学的安全性試験」が必要であることをお伝えできたのではないかと考えています。 展示ブースを訪問して下さった皆様に御礼申し上げます。

医療機器あるいは医用材料などの生物学的安全性試験について、疑問、質問、お問い合わせなどがありましたらこのホームページの「お問い合わせ」サイトからご遠慮なくお知らせください。

2014年12月更新

JEMS第43回大会ベストプレゼンテーション秦野賞 受賞者決定!

日本環境変異原学会(JEMS)第43回大会(12月4~5日、東京)において今年度のベストプレゼンテーション秦野賞に下記の受賞者が決定しました。 秦野賞は、本学会の年大会において優れた研究発表をされた若手研究者を選考していただき、秦野研究所より授与されるものです。
受賞者の方には心からお喜びを申し上げますと同時に、今後の益々の研究の発展をお祈りします。
おめでとうございます。
秦野賞: 武藤 重治[田辺三菱製薬株式会社]
受賞課題:「DNAアダクトーム解析法による2,4-および2,6-ジアミノトルエンのDNAアダクト形成メカニズム検討」


秦野賞を受賞して
田辺三菱製薬株式会社
安全性研究所
武藤重治

この度は、日本環境変異原学会第43回大会にて発表させていただいた「DNAアダクトーム解析法による2,4-および2,6-ジアミノトルエンのDNAアダクト形成メカニズム検討」につきまして、 ベストプレゼンテーション賞・秦野賞をいただき,大変光栄に思っております。ご指導ご鞭撻いただいた皆様、発表に興味を持って頂き、貴重なご意見を下さいました皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
私は入社より十数年来、安全性研究所に所属し、医薬品開発における遺伝毒性研究に従事しておりますが、初めの5年程は、化合物スクリーニングのスピードや精度を向上させるための研究が主体で、自分自身の興味もそちらにありました。 その後、遺伝毒性が課題となった社内化合物のメカニズム解析に従事したことをきっかけに、今回の大会のテーマでもある「メカニズムを基軸とするリスク評価」に興味を持つようになりました。
DNAアダクトーム解析法は、京都大学の松田先生が開発され、松田先生、大阪府立大学の八木先生、川西先生との共同研究を経て弊社に導入された方法であり、in vitro 小核試験陽性時のメカニズム解析法として同僚・先輩方が創薬への応用を推進してきました。 私はin vivoへの適用という形でこれまで研究を続けて参りました。
今回発表させていただいた研究は、遺伝毒性・がん原性研究で過去にも繰り返し対比されてきた構造の良く似た異性体である2,4-および2,6-ジアミノトルエンに着目し、DNAアダクトーム解析法という新技術を用いることによって遺伝毒性メカニズムに関する新しい知見を得ることができるのではないかと考えて始めたものです。 当初は、教科書的に知られている芳香族アミンの代謝活性化経路から、ラットの肝において形成しうるアダクトの構造をある程度予想しながら研究を進めていましたが、 予想外の結果が得られ、そこから化合物の代謝プロファイルや、in vitro / in vitroの差という方向に発展し、思いがけず想定を上回る知見が得られたと思います。 もしかするとAmes試験の試験条件ではin vivoとは異なる反応が起きているのではと考えて実施したAmes試験条件でのアダクト解析で、仮説を支持する結果が得られたときには非常に喜びました。
今回の受賞を励みに、今後もより正確なリスク評価のための、遺伝毒性メカニズムに拘った研究を推進し、環境変異原研究の発展に微力ながら貢献できればと考えております。
より一層のご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。



日本動物実験代替法学会 第28回大会開催決定

今回の第27回横浜大会は、板垣大会長の主宰で540名を超える参加者と約100演題の研究発表があり大変盛況に行われました。
来年度開催の第28回大会は、秦野研究所の山影康次が大会長となり、2015年12月10日-12日に横浜のワークピア横浜において開催予定であることが総会で報告されました。 山影次期大会長より、28回大会も多くの方に参加いただき素晴らしい大会にしたいので、皆様のご協力をお願いしたいとの挨拶がありました。

日本動物実験代替法学会 学会賞授与

本年度の学会賞(学術賞)の選考において、秦野研究所顧問の田中憲穂に授与し、横浜で開催された同学会 第27回大会2014年12月)において授賞式が行われました。
学術賞は今年度より新たに設けられた学会賞で、「3Rsに関する研究で優れた功績を遺した研究」に授与されるものです。今回の受賞は、2006年からNEDOプロジェクトで実施した、 発がん性、感作性、生殖発生毒性の3課題についての、細胞を用いた代替試験法の開発に関する研究成果と、現在進められている経済産業省プロジェクト: 「細胞を用いる代替試験法の開発」の推進に寄与したことが評価されたものです。同氏は秦野研究所に入所後、約10年間は動物を用いた遺伝毒性試験に従事し、 その後約30年間、in vitroでの細胞を用いる代替試験法の開発研究に携わり、それらの業績が評価されたものです。

2014年11月更新

第21回日本免疫毒性学会学術年会で受賞講演

本研究所の大沢基保研究顧問は、長年の研究テーマである「重金属を中心とする環境物質の免疫毒性の特性とその評価」に対して、2014年度の日本免疫毒性学会の学会賞を授与され、 同学術年会(9/11-12:徳島文理大学・徳島市)において、その研究に関する受賞講演を行った1)。
重金属を中心とする環境物質の曝露実験から、免疫系は鋭敏に反応する標的であり、その影響は宿主の状態(抗原感作の有無)で異なり、免疫制御の攪乱による自己抗体産生を含めた異常免疫亢進と、 免疫防御の阻害による免疫抑制という相反する影響が出現することを示し、その評価と意義について新しい考え方を提唱した。
前者は、環境物質曝露のアジュバント的な特性を示唆しており、自己免疫素因の発現やアレルゲン感作を促進することから、新たな毒性機序として注目される。 このようなEnvironmental Adjuvantとしての作用は、近年、先進工業国で問題となっている自己免疫疾患やアレルギー疾患の増加傾向のリスク要因と考えられており、今回の研究はその試験法の確立・標準化に資するものと期待されている。
1)大沢基保:第21回日本免疫毒性学会学術年会・講演要旨集、p.31-32 (2014).

2014年10月更新

[9th World Congress on Alternatives and Animal Use in the Life Science (WC9)]参加、発表報告

2014年8月24日から28日にチェコ興和国、プラハのヒルトンホテルで開催された動物実験代替法の国際学会であるWC9に、当研究所から5名が参加してきました。 開催地のプラハは市内中心部をヴルタヴァ川が流れ、ユネスコの世界遺産にも登録される、非常に美しく、古い街並みや建物がとても素敵な街でした。 また、日本動物実験代替法学会でもブース展示もなされ、日本人の参加者、発表数が過去最多と言うこともあって、日本の代替法の研究の多さ、質の高さを感じることができました。
プラハ

  • 発表演題:Pre-validation study of Vitrigel-EIT (Eye Irritancy Test) method
    発表者:渡辺美香
  • 発表演題:Evaluation method in Bhas 42 cell transformation assay selecting transformed foci using hydrogen peroxide, H2O2
    発表者:山影康次
  • 発表演題:Comparison of mouse primary hepatocyte spheroids formation on Cell-ableTM plates with various feeder cells
    発表者:若栗 忍
発表風景

2014年2月更新

Bhas 42細胞を用いる形質転換試験のOECDガイドライン化の近況

多くの発がん物質は、細胞に対して遺伝的障害を起こすことから、発がん物質を検索する方法として、エームス試験や染色体異常試験などの遺伝毒性試験が実施されています。 しかしながら、がん化の要因として発がん物質の約20%は、非遺伝毒性物質が関わっていることが明らかにされ、これらの発がん物質を検出する方法としてBalb/c 3T3細胞にがん 遺伝子(v-Ha-ras遺伝子)を導入したBhas 42細胞を用いる形質転換試験が開発(Sasaki et al., 1988, Ohmori et al., 2004)されました。この試験法は、 遺伝毒性試験と異なり細胞のがん化を指標とする試験で、形成された形質転換巣はヌードマウスで造腫瘍性を示すことが明らかになっています(Sasaki et al., 未発表 2014)。
Bhas 42 細胞は、non-genotoxic carcinogensやgenotoxic carcinogensに反応し、イニシエーション活性とプロモーション活性を区別して検出できることが、 これまで多くの研究者により確認され、基本プロトコールが作成されました。その後、JaCVAM(Japanese Center for the Validation of Alternative Methods) のサポートにより、OECDガイドライン化を目指した国際バリデーション・スタディが実施されました。そのバリデーション・レポート(Hayashi et al., 2012) はECVAM (European Centre for the Validation of Alternative Methods)から高い評価をうけ、経済産業省を通じ、OECDガイドライン案としてOECDへ提案されました。

2013年12月にはOECD各加盟国からコメントがよせられました。また、2014年1月14~16日には、パリにあるOECD本部で形質転換試験の専門家会議が開催され、秦野研究所からも3名の専門家が出席し、 本試験法について討議されました。現在、Bhas 42細胞を用いる形質転換試験は、2015年4月開催予定のOECDWNT会議での承認をめざして、ガイドライン原案の調整が進んでいます。



2013年12月更新

日本環境変異原学会第42回大会速報
  • シンポジウム 1.
    変異と進化を考える:我々はどこから来たのか、どこへ行くのか

このテーマは本学会の大会長で進化遺伝学に造詣の深い須藤鎮世教授(就実大)の発案で設けられ、人類600万年の進化の歴史の中で発達してきたヒトについて、その起源と進化、 類人猿の社会との違いなど、遺伝学と生物進化学の第一線の先生方のお話を大変興味深く聞くことができました。東北での地震や津波といった自然災害から発生した原発破壊による放射能汚染や、 化石燃料由来の大気汚染悪化など、様々な地球環境汚染による野生生物やヒトへの影響は、加速度的に悪化してきていると言わざるを得ません。スケールの大きい生物進化のお話を伺い、 現在は大きな局面にきている時期であることを痛感しました。(写真は須藤鎮世大会長:就実大)

  • シンポジウム 2.
    光遺伝毒性

紫外線照射は、それ自身が局所(眼、皮膚)に障害(光毒性)を誘発する可能性を有しますが、ある種の化学物質では、紫外線/可視光照射下で励起し、励起した化学物質の作用により局所に光毒性を示すことが知られています。 前者の場合、太陽光を浴びると紫外線暴露部位の細胞においてDNA損傷やタンパクの修飾(リン酸化、アセチル化など)が起こり、これが原因で光毒性を発現する可能性があります。 一方、後者の場合、光吸収(290~700nm)を示す化学物質が光照射によって励起したのち、励起した化学物質や光化学反応において発生したROS (Reactive Oxygen Species) が、 DNAやタンパクの修飾を起こすことにより光毒性を発現する可能性があります。このシンポジュームでは、これらの分野で先端の基礎研究を進めておられる、岡山大学、静岡県立大学、東北大学、 金沢大学の先生方に加え、須井哉が秦野研究所で実施している光毒性試験や光遺伝毒性試験について、その試験法を紹介しました。(写真は須井哉会員:食薬セ・秦野研究所)


日本環境変異原学会第42回大会 秦野賞決定!

日本環境変異原学会第42回大会(大会長:就実大学 須藤鎮世教授)が、11月29-30日、岡山で開催されました。本大会では評議員の推薦により、一般演題の中からベストプレゼンテーション賞として、「秦野賞」を授与しています。 秦野賞は若い優秀な変異原性に関する研究者をエンカレッジするための賞として設けられているものです。
本年度は105題の研究発表の中から、下記の研究が秦野賞として選考されました。
本年度の受賞課題である「生殖細胞の突然変異に関する研究」は、秦野研究所設立当時より所員が力を入れて実施してきた重要な研究テーマでもあり、 受賞された研究者の皆様には心からお祝い申し上げると同時に、益々の研究の発展を祈っております。

研究テーマ:「ミューテーターマウス家系を用いた体細胞および生殖細胞突然変異の解析システム」

受賞者:大野みずき1、作見邦彦2,3、福村龍太郎4、権藤洋一4、岩﨑裕貴5,6、池村淑道5、續輝久1、中別府雄作2,3
(1九大・医・基礎放射線医学分野、2九大・生医研・脳機能制御学分野、3九大・ヌクレオチドプール研究センター、4理研・バイオリソースセンター・新規変異マウス研究開発チーム、5長浜バイオ大学、6学術振興特別研究員PD)

2013年11月更新

第十六改正日本薬局方第二追補(案):輸液用ゴム栓試験法の見直し

-急性毒性試験から細胞毒性試験へ-

さる9月6日(東京)と9月10日(大阪)、(一財)医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団の主催で、第11回日本薬局方に関する説明会「第十六局第二追補(案)の概要、輸液用ゴム栓、中国伝統医学の国際標準化、 滅菌法及び滅菌指標体の全面改正について」が行われ、関連する多くの施設の方が参加されました。
第九改正(1976年)以来改正がなされていなかった輸液用ゴム栓試験法については、医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(旧 日本公定書協会)のサポートのもとに、国立医薬品食品衛生研究所、東京医薬品工業協会、大阪医薬品協会を中心として、 動物を用いる急性毒性試験法の代わりに細胞毒性試験を導入することが検討されてきました1)、2)。この説明会では、秦野研究所で得られた基礎データを中心に、当研究所の山影康次と渡辺美香が急性毒性試験と細胞毒性試験について、 (1)輸液用ゴム栓試験法見直しの背景、(2)急性毒性試験の代替法としての細胞毒性試験の位置づけ、得られたデータとして、(3)現在用いられている代表的ゴム栓原料化学物質についての動物を用いた急性毒性試験と細胞毒性試験の結果比較、 (4)国内外で流通しているゴム栓の細胞毒性値などについて報告しました。ゴム栓の製造に際しては、日局十六局第二追補(案)にも示すように容器設計段階での毒性評価が重要であり、細胞毒性試験法が、ゴム栓からの添加剤などの溶出物の毒性予測に有効であることが示されました。

1) 柘植英哉、森充生、大庭澄明、大内正、寺田三郎、五島隆志、田邊豊重、山影康次、田中憲穂、渡辺美香、畔上二郎、大向英夫、小島肇、 平成21年度「日本薬局方の試験法に関する研究」研究報告 輸液用ゴム栓試験法の見直し研究(第3報)-細胞毒性試験法の検討-.医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス: 42 (3): 258-271 (2011)

2) 柘植英哉, 大内正, 森充生, 下田耕三, 大庭澄明, 青木光夫, 林美則, 五島隆志, 山影康次, 渡辺美香, 田中憲穂, 小島肇, 四方田千佳子,平成22年度「日本薬局方の試験法に関する研究」 研究報告 輸液用ゴム栓試験法の見直し研究(第4報)-ゴム栓試験法:細胞毒性試験における試料溶液の調製方法に関する検討-.医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス: 43(5):473-482(2012)