
単回投与毒性試験(急性毒性試験)の目的
単回投与毒性試験(Single Dose Toxicity Test)は、被験物質を動物(主にマウスまたはラット)に1回だけ投与し、その後の一定期間に生じる急性毒性の影響を評価する試験です。
投与経路は、経口(gavage)、静脈内、腹腔内、経皮、気道などがあり、被験物質の使用用途や物理化学的特性に応じて選択されます。
この試験の主な目的は、1回の曝露によって引き起こされる急性毒性反応の有無およびその程度を明らかにすることにあります。
また、致死量(LD50)の推定や毒性発現までの時間、主要な標的臓器の特定、症状の観察、病理学的所見の確認などが行われます。
単回投与毒性試験の概要
単回投与毒性試験は、OECDテストガイドラインおよび毒性試験法ガイドラインなどに準拠して実施されます。
以下のような一般的な手順で進行します。
- 1.用量設定
- 事前の情報または予備試験に基づき、複数の用量群(高・中・低)と対照群を設定します。
- 2.投与
- 設定された用量を動物に1回投与し、以降14日間程度、毎日観察を行います。
- 3.観察項目
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- 臨床症状(呼吸異常、運動障害、被毛の異常など)
- 体重変化
- 死亡の有無
- 剖検および病理組織学検査(必要に応じて)
- 4.結果評価
- 得られたデータに基づき、毒性の発現傾向や致死量、リスク評価の基礎情報を提供します。
なお、近年では「動物福祉」の観点から、過剰な動物使用を避けるための試験設計(段階的用量投与やLD50算出の代替法など)も取り入れられています。
単回投与毒性試験の対象となる品目
単回投与毒性試験は以下のような品目に対して実施が求められます。
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新規有効成分、添加物、賦形剤の安全性評価の初期段階で実施されます。
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医療機器の抽出液(例えばカテーテル、人工関節などの構成材料)について、急性毒性の有無を確認する目的で実施されます。
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家庭用品や工業製品に含まれる新規化合物の安全性評価として実施されます。