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医療機器の生物学的安全性試験

医療機器の生物学的安全性試験

医療機器の生物学的安全性試験

医療機器の生物学的安全性試験

医療機器の安全性試験とは、医療機器が安全に使用できることを確認するために実施する試験であり、医薬品とは異なる特有のリスクを評価する必要があります。

医療機器の安全性試験には、ここで紹介している生物学的安全性試験以外に、機械的および電気的安全性試験などがあります。

食品薬品安全センターは、体内に長期間留置されるステントや血管カテーテル・ダイアライザーといった血液接触がある高度管理医療機器の安全性試験についても豊富な実績があります。

また、申請する製品の生物学的安全性評価としてどのような試験を実施すればよいのか、海外に申請する場合の注意点などの医療機器の生物学的安全性試験にかかわるコンサルティングも実施しております。

食品薬品安全センターで実施できる医療機器の生物学的安全性試験

個別医療機器の生物学的安全性試験(例)

医療機器の分類と規制

医療機器はその使用目的やリスクに応じて分類され、製造販売においてはリスクに応じた規制があります。

日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)に基づいて規制され、人体に与えるリスクの高さに応じて以下の4つのクラス(区分)に分類されています。

医療機器の分類と規制
リスク 小 大
分類 一般医療機器 管理医療機器 高度管理医療機器
規制 承認等不要 第三者認証
(認証基準があるもの)
大臣承認
(PMDAで審査)
具体例 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの 不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの 患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの
(例)
  • 体外診断用機器
  • 鋼製小物(メス・ピンセット等)
  • 医療用ガーゼ、脱脂綿
  • X線増感紙
  • 歯科用印象材料
(例)
  • MRI装置ワークステーション
  • 眼科用内視鏡
  • 気管支カテーテル
  • 超音波血流計
  • 歯科用金属
(例)
  • 中空糸型透析器
  • 人工関節
  • 麻酔用人工呼吸器
  • 眼科用マイクロカテーテル
(例)
  • 植込み型心臓ペースメーカ
  • 冠動脈ステント
  • 麻酔用人工呼吸器
  • 大動脈用ステントグラフト
国際分類 クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ クラスⅣ
医療機器の規制に関する国際比較
一般医療機器 管理医療機器 高度管理医療機器
クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ クラスⅣ
日本 届出 第三者認証
(認証基準があるもの)
国の承認
米国 届出 国の承認
EU 自己認証 第三者認証

医療機器の生物学的安全性試験の評価項目の選択

医療機器の生物学的安全性試験の項目の選択について一般的な流れを示します。(対象の被験物質等によって異なる場合があります。 )

"選択すべきガイダンスや試験項目について相談したい"といったご依頼も承ります。

医療機器の生物学的安全性評価で考慮すべき評価項目

医療機器の生物学的安全性試験に関する国際的なガイダンスであるISO 10993-1(2025)が発行され、国内ガイダンスも医薬機審発0311第1号(2025)に改正されました。

本改正により、医療機器のカテゴリー区分が見直しされるとともに、生物学的影響に関する評価エンドポイントを示した表についても変更されております。

接触部位/接触期間 生物学的安全性評価項目 a b c
A:一時的(24時間以内)
B:短・中期的(24時間を超え30日以内)
C:長期的(30日を超える)
細胞毒性
(Cytotoxicity)
感作性
(Sensitization)
刺激性
(Irritation)
全身毒性
(Systemic toxicity)g
埋植
(Local effects
after tissue contact)
遺伝毒性
(Genotoxicity)
がん原性
(Carcinogenicity)
血液適合性
(Haemocompatibility)
健常な皮膚 A ○ ○ ○
B ○ ○ ○
C ○ ○ ○
健常な粘膜 A ○ ○ ○
B ○ ○ ○ ○ ○d ○
C ○ ○ ○ ○ ○d ○ ○
損傷した皮膚・粘膜
血液以外の内部組織
A ○ ○ ○ ○
B ○ ○ ○ ○ ○d ○
C ○ ○ ○ ○ ○d ○ ○
循環血液 A ○ ○ ○ ○ ○f ○
B ○ ○ ○ ○ ○e ○ ○
C ○ ○ ○ ○ ○e ○ ○ ○
○ : 評価すべきエンドポイント
a 評価対象となる生物学的影響を特定するにあたっては、まず既存のデータセットを考慮することが重要であり、それらが生物学的リスク評価に不十分な場合にのみ、追加試験の実施を検討する。本表は試験実施のためのチェックリストではない。
b 一部の医療機器については、本表に評価対象として示されているもの以外の生物学的影響を追加で評価することが適切な場合がある。例えば、新規材料から製造された医療機器や、特定の感受性の高い集団(例:乳児、妊婦、免疫不全患者)への使用を意図した医療機器が該当する。
c 他の生物学的影響の評価(例:免疫毒性、神経毒性、生殖発生毒性、材料由来発熱性)が必要となる特定の状況が存在するかどうか、あるいは他の要因を考慮すべきかどうかについても検討することが重要である。
d 生体と間接接触する一部の医療機器については、医療機器から粒子状物質が生じ、組織への曝露の可能性がある場合、組織接触後の局所的影響を考慮することが重要である。
e 循環血液との接触に加えて他の組織と直接接触する医療機器についてのみ考慮される。間接接触については、血液適合性において評価する。
f 体外循環回路で使用される医療機器または埋め込み医療機器のみに適用される。
g 全身毒性に関する評価は、医療機器の使用期間を反映した期間を考慮する(例:急性、亜急性、亜慢性、慢性)。

歯科用医療機器の生物学的安全性評価で考慮すべき評価項目

本表では、薬生機審発0531第5号(2021)での考慮すべき評価項目を表示しています。ISO 7405(2025)およびJIS T 6001(2021)を適用する場合は、別表を参照してください。

歯科用医療機器のカテゴリ 接触期間(累積) 生物学的安全性評価項目
接触部位 A:一時的(24時間以内)
B:短・中期的(24時間を超え30日以内)
C:長期的(30日を超える)
物理学的・化学的情報 細胞毒性 遅延型過敏症(感作性) 刺激性又は皮内反応 材料由来の発熱性 急性全身毒性 亜急性全身毒性 亜慢性全身毒性 慢性全身毒性 埋植 遺伝毒性 がん原性(発がん性)
表面接触機器 皮膚 A X ○ ○ ○
B X ○ ○ ○
C X ○ ○ ○
口腔内組織 A X ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
損傷表面 A X ○ ○ ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
体内と体外とを連結する医療機器 組織/骨/歯質 A X ○ ○ ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
歯科用体内植込み機器 組織/骨 A X ○ ○ ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
X : リスクアセスメントに必要な前提情報を示す。
○ : リスクアセスメントにおいて評価すべきエンドポイントを示す。リスクアセスメントには、既知の毒性情報を用いた評価、エンドポイントに示された生物学的安全性試験の実施、試験を省略する場合にはその妥当性を説明することが含まれる。歯科医療用途として未使用の新規材料が使用されている場合で、かつ、文献などで毒性情報が得られない場合には、「○」と記されていないエンドポイントについても評価の対象に加える必要がある。歯科用医療機器の特性によっては、示されたエンドポイント以外も評価対象とすることが適切な場合があるとともに、それとは逆に示されたエンドポイントよりも少ない項目が適切なこともある。
・ 歯科用医療機器が発がん性、変異原性、並びに生殖毒性を有することが知られている化学物質を含む場合には、リスクアセスメントにおいて検討する。
・ 新規材料、生殖発生毒性を有することが公知となっている材料、生殖発生毒性と関係の深い患者集団(例えば妊婦)に適用する歯科用医療機器、並びに構成材料が生殖器官に局所的に使用する可能性のある歯科用医療機器については、生殖発生毒性の評価を考慮することが望ましい。
・ 構成部材や構成材料が患者の体内に残留し、生体内で分解する可能性がある歯科用医療機器については、生体内分解性に関する情報を示すことが望ましい。

歯科用医療機器の生物学的安全性評価で考慮すべき評価項目

本表では、ISO 7405(2025)およびJIS T 6001(2021)のそれぞれの表の主要な部分を表示しています。使用模擬試験なども含め、詳細は各ガイドラインを確認してください。

接触状態/接触期間 生物学的安全性評価項目
A:一時的(24時間以内)
B:短・中期的(24時間を超え30日以内)
C:長期的(30日を超える)
物理学的・化学的情報 細胞毒性 皮膚感作性 刺激性 急性全身毒性 亜急性または亜慢性全身毒性 遺伝毒性 埋植
表面接触機器 A X ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
体内と体外とを連結する機器 A X ○ ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
歯科用体内植込み機器 A X ○ ○ ○ ○
B X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
X : リスクアセスメントに必要な前提情報を示す。
○ : リスクアセスメントにおいて評価すべきエンドポイントを示す(エンドポイントとして、既存の毒性情報、追加となるエンドポイントに特有の試験の実施、または追加のデータが不要な場合はその妥当性の根拠の説明のいずれかが該当する)。評価の対象となる医療機器が、これまで医療機器用途に使用されたことのない新規材料から製造され、既存の文献からその材料に関する毒性情報が得られない場合は、本表で「○」と示されたエンドポイント以外についても評価の実施を考慮する必要がある。特定の医療機器については、本表に示されたものに追加、または削減してエンドポイントを選択することが適切な場合もある。

よくあるご質問

医療機器の生物学的安全性試験は、医療機器本体や構成材料が生体に対して安全であるか(細胞毒性・刺激性・感作性・遺伝毒性等)を評価する一連の試験です。ヒト使用を前提に、接触組織への影響や有害性リスクを非臨床で科学的に確認します。

はい、医療機器の生体適合性を評価するため、細胞毒性、刺激性、感作性、全身毒性、遺伝毒性など幅広い生物学的安全性試験を実施できます。用途・材料特性に応じて最適な評価体系を設計します。

医療機器のクラス分類とは、使用目的や人体へのリスクの程度に応じて医療機器を区分する制度です。一般的にクラスI(低リスク)からクラスIV(高リスク)まで分類され、クラスが上がるほど求められる安全性・有効性評価の水準が厳しくなります。生物学的安全性試験の範囲もクラスに応じて設定されます。

はい、クラスI〜IVを問わず、医療機器のリスククラスに応じた生物学的安全性評価設計に対応しています。用途・使⽤条件に合わせて必要な試験項目を整理します。

高度管理医療機器は、患者の生命・身体に重大な影響を及ぼす可能性があるため、特に厳格な安全性・有効性管理が求められる医療機器です。例えば、長期体内留置型デバイスや侵襲性の高い装置などが該当します。承認申請時には詳細な生物学的安全性評価が必要です。

はい、高度管理医療機器に求められる生物学的安全性評価(細胞毒性、刺激性、感作性、全身毒性等)に対応しています。リスク分類に基づき必要な評価項目を整理し、国際基準に沿った試験計画をご提案します。

はい、医療機器を構成する材料単体での評価も可能です。材料由来の反応性や溶出物による影響を把握することで、製品全体の安全性設計をサポートします。

はい、ISO 10993シリーズなどの国際標準規格に準拠した評価に対応しています。ISO規格を基盤とした試験設計は、国内外の規制当局での受け入れに適した信頼性を担保します。

はい、細胞毒性評価、皮膚刺激性・感作性評価等の一部試験のみの受託も可能です。評価目的に応じて柔軟に対応します。

試験項目や評価内容により異なりますが、数週間程度〜数ヶ月程度です。個別にスケジュールをご提示します。

はい、案件によっては有償のコンサルティングとなりますが、試験項目選定、評価戦略、規制要件整理等の事前相談に対応しています。リスク評価や申請計画に合わせた最適な試験設計を支援します。

冊子「医療機器等の生物学的安全性試験の手引き」をご提供しております。医療機器の生物学的安全性試験を計画し、試験を当センターに委託あるいはご検討くださる際にご利用いただいています。 医療機器メーカー様等を対象に無償・送料当センター負担にて郵送いたします。 お問い合わせフォームよりお申込みください。 なお、同業他社様、個人の方からのお申込みはお断りさせていただきます。その他当センターの判断によりお渡しできない場合がございますので予めご了承ください。