2025年10月16日更新
[コラム]安定性資料について
お客様からのお問い合わせを多くいただく「安定性資料」について解説いたします。
「安定性資料」とは何か
医療機器GLP省令で安全性試験(生物学的安全性試験)を実施する場合、試験で使用する検体(被験物質または対照物質)について、被験物質等の安定性を確認しておく必要があります。
被験物質等が安定であることを証明する根拠データのことを「安定性データ」と言います。
また、安定性データに基づいて作成された文書のことを「安定性資料」と言います。
「安定性データ」は、被験物質(製品)の使用期限を設定した際の情報を用いたり、安全性試験の実施前後のタイミングで分析(例:FT-IRなど)を行うことにより取得することができます。
「安定性資料」が必要な理由
GLP試験では、被験物質等が安全性試験の実施期間中に安定であったことを最終報告書に記載する必要があります。
その根拠として、安定性資料が必要となります。
「安定性資料」に含まれる情報
安定性資料には、安全性試験の実施期間中、被験物質が物理的および化学的に変化していないことを説明できる情報(測定項目)を含める必要があります。
ただし、加速試験による推測値など、実時間試験データでない場合は安定性資料に利用できない場合がありますので注意が必要です。
- 例:
- 安全性試験の実施前(製品の製造直後/滅菌直後が望ましい)と実施後の2時点において分析[例:製品(被験物質)の使用期限を設定するために必要となる測定]を行い、2時点で得られた結果の間に懸念される差がないことを確認する。
「安定性データ」、「安定性資料」に求められる信頼性について
安定性データをGLP非適用下で取得する場合、試験責任者は安定性データ(数値データを含む)が下記3要素を全て満たしていることを確認する必要があります。(安定性データはGLP適用下での取得が推奨されています。)
- 1.正確性
- 測定結果(生データ)に基づき、安定性資料が正確に作成されている。
- (例:安定性資料の記載内容に対し、ダブルチェック等が行われている。)
- 2.完全性/網羅性
- 不都合な内容も含め、全ての結果が安定性資料に記載されている。
- 3.保存性
- 測定結果(生データ)、安定性データに関する記録類が保存されている。
「安定性資料」をいつまでに提示すれば良いか?
安定性資料は安全性試験に関する報告書の最終化までに必要となる情報です。
安全性試験に関する報告書案の作成前に、下記情報を文書にて試験責任者と共有いただけると報告書を滞りなく作成することができます。
- 安定性資料(案の段階でも構いません。)
- 安定性データが信頼性に関する3要素(正確性、完全性/網羅性および保存性)を全て満たしていること
終わりに
安定性資料は、GLP適用下で行われた安全性試験の報告書作成に必要となる情報です。
試験依頼確定後の早い段階で、「安定性データ」および「安定性資料」に関する情報を試験責任者と共有いただくことで、報告書を滞りなく作成することができます。
食品薬品安全センターでは、GLP適用下でのFT-IR測定が可能です。
被験物質のFT-IR測定をご希望の場合は、見本サンプルをご提供ください。
測定可能であることを確認した上でお見積りを提示いたします。
是非ご検討ください。