外部精度管理調査の概要
食品衛生外部精度管理調査について
食品衛生検査は健康被害を防ぐためのひとつの手段として実施されていますが、より正しい検査結果を得るためには、各検査機関における信頼性保証の取り組みが重要となります。 そのための代表的な方法として精度管理が挙げられます。
食品衛生外部精度管理調査は、検査施設における信頼性確保を目的とした「食品衛生検査施設における検査等の業務管理」(食品GLP)の施行に伴い食品衛生法施行規則に規定されるものであり、
食品衛生検査施設および登録検査機関では外部精度管理調査への参加が求められています。
当財団では、平成9年度より厚生省(現厚生労働省)から食品衛生外部精度管理調査実施機関として具備すべき要件の適合の確認(「食品衛生検査施設等の外部精度管理調査の実施機関について」、
平成9年4月1日衛食第118号)を受け、食品衛生検査に関わる外部精度管理調査を実施しています。
なお、民間の検査機関(品質管理業務等を含む)につきましても当外部精度管理調査にご参加いただけます。
※ 当財団が実施する食品衛生外部精度管理調査はISO/IEC 17043(適合性評価-技能試験に対する一般要求事項)の認定を取得しております。詳細につきましてはこちらをご覧ください。
検査結果の秘密性の保持
各参加検査機関より提出された検査結果は、年度ごとに設定される個別のコード番号のみを用いて集計、解析されます。そのため、調査結果報告書中において機関名が特定されるようなデータ等への記載が行われることは一切ありません。
これまでの実施項目
理化学調査
調査項目 | 調査対象物質 | 使用基材 |
---|---|---|
重金属 | カドミウム、鉛 | 清涼飲料水、白米、玄米 |
食品添加物 | 【定性検査】 酸性タール色素中の許可色素 【定量検査】 サッカリンナトリウム、安息香酸、 パラオキシ安息香酸エステル類、 ソルビン酸 |
清涼飲料水、つゆ、 漬物、しょう油、 シロップ、ゼリー菓子、 果実ペースト、ジャム、 みそ |
残留農薬 | クロルピリホス、フェニトロチオン、 マラチオン、ダイアジノン、 フェンチオン、フェントエート、EPN、 アトラジン、テルブホス、チオベンカルブ、 フルシトリネート、フルトラニル、プロチオホス |
にんじんペースト、 ほうれんそうペースト、 かぼちゃペースト、とうもろこしペースト、 米油、とうもろこし油 |
残留動物用医薬品 | フルベンダゾール、スルファジミジン | 鶏卵、鶏肉ペースト、豚肉ペースト |
微生物学調査
調査項目 | 使用基材 |
---|---|
一般細菌数測定 | そば粉、寒天状基材、ゼラチン基材 |
大腸菌群 | マッシュポテト、ハンバーグ、つみれ |
E. coli検査 | マッシュポテト、ハンバーグ |
腸内細菌科菌群 | ハンバーグ |
黄色ブドウ球菌 | マッシュポテト |
サルモネラ属菌 | マッシュポテト、液卵 |
動物を用いる調査
調査項目 | 使用基材 |
---|---|
麻痺性貝毒 | ホタテガイペースト |
動物を用いる調査は機器分析でのご参加はできません。
当該年度の実施項目および試料基材は「最新情報」をご参照ください。
外部精度管理調査手順
外部精度管理調査の流れ
食品衛生外部精度管理調査は図のような実施体系で行われており、以下の手順に従って実施されます。

参加申込
年度初めに参加機関に業務の案内状(参加申込書および当該年度の実施計画)を送付しますので、参加を希望される項目を記載した参加申込書を返送していただきます。なお、参加は1項目から可能です。
年度の途中よりご参加を検討の検査機関におかれましては、当該調査項目の調査試料発送1か月前までに「外部精度管理に関するお問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
調査試料の送付
参加を希望された調査項目について年度計画に従って各検査機関宛に調査試料を送付します。各検査機関で調査試料に関する検査を実施した後、 当財団宛に結果を返送していただきます。なお、検査方法は各検査機関の標準操作手順書(SOP)に従って実施していただきます。 当方からの特別な指示がある場合にはその旨を連絡いたします。
統計解析
返送された結果報告書をもとに、データの集計・解析を行います(詳細は統計処理参照)。
結果の公表
解析されたデータについて、厚生労働省および外部の専門家により構成される食品衛生外部精度管理調査成績評価委員会における検討の後、調査結果報告書を作成し、 各参加機関宛に送付します。なお、食品衛生外部精度管理調査においては全調査項目の結果を一冊の調査結果報告書にまとめ、3月に送付いたします。 また、各調査項目の報告期限日から起算して1~2か月を目途に解析結果の速報を当ホームページで公表しております。
統計処理
定量検査における統計処理の手順
データの解析は従来方式(厚生省食品衛生調査会食品規格部会精度管理分科会において討議検討された方法)とロバスト方式(The International Harmonized Protocol for the Proficiency Testing of Analytical Chemistry Laboratories において提唱されているHuberのH15法による方法)を併記しています。なお、従来方式におけるデータ・クリーニングおよび2シグマ処理は回収データの分布を正規分布に近似させるために行っています。
- データ・クリーニングによる除外(従来方式、ロバスト方式で共通)
各検査機関よりデータを回収した後、データ・クリーニングを行い、範囲を大きく外れたデータを除外します。 - 2シグマ処理による除外(従来方式)
従来方式では、データ・クリーニング後において分布に極端な歪みや尖りが認められた場合に、2シグマ処理(平均値±2×標準偏差の範囲を超えたデータを除外)を行った後、基本統計量等の算出を行います。 - メジアン・クリーニングによる除外(ロバスト方式)
ロバスト方式では、2次スクリーニングとして、メジアン±メジアン×50%の範囲を超えたデータを除外した後、ロバスト統計量の算出を行います。 - データの解析
得られたデータについて従来方式ではXbar-R 管理図およびz-スコアによる解析を、ロバスト方式ではz-スコアによる解析を行います。 Xbar 管理図における管理限界線は理化学調査では添加量の70%および120%、 微生物学調査では全体の平均値の30%および300%としています。 一方、R 管理図では繰り返し測定におけるばらつきの評価を行います。 また、z-スコアによる解析では、|z-スコア|<2:満足(良好)、2≦|z-スコア|<3:疑わしい(改善措置が必要か否かの検討が必要)、|z-スコア|≧3:不満足(改善措置の必要あり)との判断基準に従っています。

Xbar-R 管理図の例
z-スコアの計算式


内部精度管理試料(余剰試料)の販売
更新日:2023年6月2日
内部精度管理試料として外部精度管理調査で使用したものと同じ調査試料(余剰試料)を販売いたします。
販売対象となる項目は以下のとおりです。
なお、試料数には限りがございますので、在庫が無くなり次第受付を終了いたします。
2022年度余剰試料
項目 | 試料の形態 | 試料の量 | 対象物質等 | 発送日 |
---|---|---|---|---|
重金属検査(22HM-S) | 玄米粉 | 約130 g | カドミウム | 随時 |
食品添加物検査(22FA1-S) | 果実ペースト | 約180 g | 着色料 | 随時 |
食品添加物検査(22FA2-S) | 果実ペースト | 約150 g | ソルビン酸 | 販売終了 |
残留農薬検査(22PR1-S) | かぼちゃペースト | 約200 g | クロルピリホス、フェントエート | 販売終了 |
残留農薬検査(22PR2-S) | とうもろこしペースト | 約200 g | アトラジン、クロルピリホス、ダイアジノン、 フェントエート、フルトラニル、マラチオンの 6種農薬中の3種 | 随時 |
残留動物用医薬品検査(22VD-S) | 鶏肉(むね)ペースト | 約80 g | スルファジミジン | 販売終了 |
一般細菌数測定検査(22MC-S) | ゼラチン基材 | 約90 mL | Bacillus subtilis | 随時 |
栄養成分検査(22NI-S) | 全粉乳 | 約180 g | たんぱく質、脂質、ナトリウム、灰分、水分、 カリウム、銅、飽和脂肪酸 | 販売終了 |
2023年度余剰試料
項目 | 試料の形態 | 試料の量 | 対象物質等 | 発送日 |
---|---|---|---|---|
重金属検査(23HM-S) | 玄米粉 | 約130 g | カドミウム | 2023年8月1日 |
食品添加物検査(23FA1-S) | 果実ペースト | 約180 g | 着色料 | 2024年1月10日 |
食品添加物検査(23FA2-S) | 果実ペースト | 約150 g | ソルビン酸 | 2023年9月12日 |
残留農薬検査(23PR1-S) | ほうれんそうペースト | 約200 g | クロルピリホス、ダイアジノン | 2023年9月12日 |
残留農薬検査(23PR2-S) | かぼちゃペースト | 約200 g | アトラジン、クロルピリホス、チオベンカルブ、 フェントエート、フルトラニル、マラチオンの 6種農薬中の3種 | 2023年11月14日 |
残留動物用医薬品検査(23VD-S) | 豚肉(もも)ペースト | 約80 g | スルファジミジン | 2023年12月19日 |
一般細菌数測定検査(23MC-S) | 白飯 | 約100 g | Bacillus subtilis | 2023年9月12日 |
栄養成分検査(23NI-S) | 粉乳 | 約200 g | たんぱく質、脂質、ナトリウム、灰分、水分、 カルシウム、マグネシウム、リン | 2024年1月末 |
費用(送料を含む) 6,600円/個
(うち消費税等600円)
内部精度管理試料をご購入希望の方は「外部精度管理に関するお問い合わせフォーム」よりお願いいたします。