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眼刺激性試験

眼刺激性試験

眼刺激性試験

眼刺激性試験の目的

眼刺激性試験は、製品が眼に接触した際に生じ得る刺激性の有無やその程度を確認するための試験です。

ウサギを用いて行われるin vivo試験であり、試験液を被験動物の眼(通常は片眼)に点眼し、一定の間隔で角膜、虹彩、結膜への影響を経時的に観察・評価します。

本試験は、臨床的に眼組織への使用が想定される製品、あるいは偶発的に眼に接触する可能性のある製品に対して実施が求められます。

眼組織は非常に繊細であり、軽度の刺激でも視機能に影響を及ぼす可能性があるため、安全性を十分に評価することが極めて重要です。

眼刺激性試験の概要

眼刺激性試験は、公的ガイドライン(OECDテストガイドラインTG405、ISO10993-23等)に準拠して実施します。

試験の一般的な手順は以下の通りです

1.試験動物の選定
健康なウサギ(主にアルビノ種)を使用します。
2.点眼処置
試験液を片眼に単回点眼し、もう一方の眼には点眼せずに対照として使用します。
3.観察項目
  • 角膜の混濁、虹彩の反応、結膜の発赤や浮腫、分泌物の有無
  • 点眼直後から一定間隔(通常は1時間、24時間、48時間、72時間など)で経時的に観察
4.スコアリングと評価
各組織への影響をスコア化し、得られたスコアから試験眼と対照眼の反応の違いから、眼組織への影響を評価します。

なお、近年では動物福祉の観点から、眼刺激性試験代替法の活用も推奨されており、当センターでも動物福祉に配慮した試験設計の提案も行っています。

眼刺激性試験の対象となる品目

眼刺激性試験は以下のような品目に対して実施が求められます。

  1. 点眼薬、洗眼薬、眼科用ジェルなど

  2. コンタクトレンズ、眼内レンズなど

  3. コンタクトレンズケア用品、コンタクトレンズ装着液など

  4. 家庭用洗剤や作業現場で使用される化学薬品など

これらの製品は、使用者の眼と直接接触する、または誤使用により眼に入る可能性があるため、眼刺激性の有無を事前に確認することが不可欠です。

関連する安全性試験

眼刺激性試験は刺激性試験の一つです。

製品の使用用途に応じて、以下のような局所刺激性試験の中から選択して試験を実施します。

また、医療機器の承認申請では、すべての医療機器で刺激性試験が求められており、製品の総合的な安全性を確保するうえで重要な位置を占める試験の一つとなっています。

  1. 皮膚接触による刺激や炎症の可能性を評価

  2. 皮内投与部位の反応から生体内での刺激や炎症の可能性を評価

  3. 眼に装着して長時間使用するコンタクトレンズの刺激性や適合性を評価

  4. 粘膜への接触時の刺激や炎症の可能性を評価

食品薬品安全センターの眼刺激性試験

当センターでは、GLP基準に準拠した眼刺激性試験を実施しており、信頼性と再現性に優れた試験データをご提供いたします。

合わせて、粘膜刺激性試験として、口腔粘膜、膣粘膜および陰茎粘膜試験が実施可能で、製品の使用用途に応じて選択いただけます。

また、in vivo試験だけでなく、動物実験代替法を含む多様な評価手法にも対応しており、試験対象やご要望に応じた柔軟な提案が可能です。

眼刺激性試験

試験方法(医療機器)

試験液として試験試料を生理食塩液および植物油で抽出した抽出液を使用します。

ただし、新たな原料化学物質を使用した医療機器については、原料化学物質を抽出せずそのまま使用、あるいは抽出液を希釈して調製したものを使用することもあります。

希釈する場合は、点眼濃度を決定するために臨床使用量を参考に実施する場合があります。

点眼は、1溶媒につき3匹の動物に行います。点眼後1、24、48および72時間にスリットランプ等を用いて観察し、ISO 10993-23の眼病変の評点付けシステムまたはMcDonald-Shadduckの評価基準に従い、角膜、虹彩、結膜の病変の程度について評点を付けます。

点眼後24時間には、フルオレセインナトリウム溶液を点眼して角膜の損傷の有無も観察します。

判定方法および基準

眼組織への影響の評価は、点眼後の観察期間中における評点をもとに、刺激性陽性反応あるいは重篤な眼の刺激性反応 (不可逆性変化) が認められるかどうかなど、刺激の性質と程度を総合的に判定します。

なお、72時間後の観察で、眼病変が継続して認められた場合、観察期間を延長 (最長で点眼後21日間まで) し、「可逆性」か「非可逆性」かについても評価します。

試験は医療機器ガイダンスまたはISO 10993-23に準拠して実施しますが、場合によっては、OECD TG 405などを参考に実施することもあります。