皮膚刺激性試験の目的
皮膚刺激性試験は、製品が皮膚に接触した際に、紅斑(赤み)や浮腫(腫れ)などの局所的な炎症反応を引き起こすかどうかを評価する試験です。
医療機器の場合、その用途や形態によっては被験物質を直接皮膚に貼り付けて評価する場合もあります。
臨床適用部位が皮膚である製品や、皮膚への接触が想定される物質に対して行われ、安全性の確認を目的としています。
皮膚は人体の中でも外部からの刺激に常にさらされる器官であり、過敏な反応を起こしやすいため、製品の開発段階でその刺激性の有無を把握することは、リスク回避と製品の信頼性確保の両面で非常に重要です。
皮膚刺激性試験の概要
皮膚刺激性試験は、公的ガイドライン(OECDテストガイドラインTG404、ISO 10993-23等)に準拠して実施します。
皮膚刺激性試験は刺激性試験の一つであり、ISO 10993-23には皮膚刺激性試験のほかに皮内反応試験および粘膜刺激試験なども示されています。
試験の一般的な手順は以下の通りです。
- 1.試験動物の選定
- 健康なウサギ(主にアルビノ種)を使用します。
- 2.被験部位の処理
- 動物の背部などの毛を剃毛し、試験液をガーゼに含ませて、あるいは被験物質を直接貼り付けて一定時間皮膚に接触させます。
- 3.観察・評価
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- 試験後24時間、48時間、72時間などの時間間隔で、皮膚の状態を観察
- 紅斑・痂皮および浮腫の程度をスコア化し、刺激性の有無とその強度を評価
- 4.スコアリング
- 各観察時間におけるスコアに基づき、刺激性の等級(軽度、中等度、重度など)を分類します。
また、近年では動物福祉への配慮から、代替法(例えば、再構築ヒト皮膚モデルを用いたin vitro試験)を活用するケースも増えており、当センターでもご要望に応じた柔軟な試験設計が可能です。
皮膚刺激性試験の対象となる品目
皮膚刺激性試験は以下のような品目に対して実施が求められます。
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外用薬、軟膏、クリーム、貼付剤など
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パッチ、テープ、体外用センサーなど
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洗剤、殺虫剤、ウェットティッシュなど
これらの製品は、日常的に皮膚と接触する可能性が高く、事前の刺激性評価が使用者の安全と安心に直結します。
食品薬品安全センターの皮膚刺激性試験
当センターでは、GLPに準拠した信頼性の高い皮膚刺激性試験を提供しております。
試験結果に基づく評価だけでなく、規制当局からの照会への対応、製品開発に関する技術的なご相談にも幅広く対応しております。
また、他の刺激性試験や毒性試験との連携により、製品の生物学的安全性を多角的に評価できる体制を整えております。
試験方法(医療機器)
試験液として生理食塩液および植物油の2溶媒による抽出液をウサギの背部被毛を剪毛した皮膚に適用しますが、医療機器の用途、形態によっては被験物質を直接皮膚に適用する場合もあります。
適用は、24時間閉塞貼付が基本になります。
判定方法および基準
24時間適用後に検体を除去し、除去後1、24、48および72時間に、皮膚(皮内)反応の評点付けシステムに従い、紅斑・痂皮および浮腫の形成について肉眼的に観察し、得られた観察結果から一次刺激指数を算出して刺激性の程度を判定します。
なお、72時間後の観察で、皮膚反応が継続して認められた場合、観察期間を延長(最長で適用14日後まで)し、「可逆性」か「非可逆性」かについても評価します。